関節リウマチ

関節リウマチは多関節炎を主病変とする慢性炎症性疾患であり、その特徴は、発症早期から関節破壊が進行し不可逆的な身体機能障害を生じる自己免疫性疾患である。関節リウマチ患者の主訴としては、関節が熱感をもって腫れ上がり疼痛のため自動他動運動が困難となり、また疼痛関節が移動・拡大していくと訴える場合が一般的である。

担当医
高橋 伸典 池本 竜則 大橋 禎史
関節リウマチのX線像

(1)関節痛発症時

(2)半年後

(3)2年後

この症例は、関節痛出現したが関節リウマチと診断されず2年経過したものです。関節破壊が進行していることが分かります。(1)の時点では、骨びらんもなく関節裂隙の狭小化も認めませんが、(2)では、第4、第5中手骨基部の骨吸収像を認め、2年後の(3)の画像では骨びらんと関節裂隙の狭小化が存在します。また、手根骨の配列も上下方向に潰された状態にまで進行しています。骨は一度壊れてしまうと。なかなか元通りになりにくいため、早期診断による早期治療が重要となっています。

関節リウマチの治療法

RAの主な病態は、滑膜炎、血管新生、炎症性細胞の浸潤とそれらの相互反応による炎症性サイトカインや一酸化窒素(NO)の過剰な産生である。RA滑膜組織から大量に放出されるTNFα、IL-6等の炎症性サイトカインが」関節破壊に関与することが明らかとなってきています。現在、関節リウマチのアプローチとしては、薬物療法を基本として、個々の病態に合わせたテーラーメード治療が主流になりつつあります。日本リウマチ学会が作成した関節リウマチ診療ガイドライン(2020)では、メソトレキサートをキードラッグとした治療アルゴリズムが確立されています。

Mindsガイドラインより

メソトレキサートで十分な効果が得られない場合は、生物学的製剤の治療が推奨されています。現在、日本ではメカニズムの異なる3種類の生物学的製剤による治療が可能ですが、高橋らは、これらの生物学的製剤の治療効果をまとめ、いずれの薬剤でも、十分な治療効果が得られることを報告しています。